第17回 企業結合規制
2017-06-06
企業結合規制の各論が1回だけである理由
弊害要件は違反要件総論で十分に取り上げている。
最新企業結合事例集を応用編1回分で取り上げる。
企業結合規制の各論としては、「行為要件充足行為」→「懸念される行動」→「弊害」のうち「懸念される行動」と、「問題解消措置」とを、見れば十分である。
水平型企業結合・垂直型企業結合・混合型企業結合の3分類は、行為要件論においても弊害要件論においても分類の実益はない。唯一、それぞれにおいて頻出する「懸念される行動」が異なる、という意味で、3分類の実益がある。
事前準備
3種ごとに定番事例を掲げておくので、何が懸念されているのかを把握しつつ、全体を読む。
参考:平成22年度事例集以降、毎年、白石が公正取引(9月号〜11月号のどこか)に解説を執筆。
水平型企業結合
垂直型企業結合
混合型企業結合
敢えて挙げれば下記の2件があるが、教室では簡単に触れるのみ。
抱き合わせ懸念
事例集35頁以下
事例集36頁以下
どちらかが、「インテルの商品役務が主たる商品役務でアルテラの商品役務が従たる商品役務」、もう一つが、「アルテラの商品役務が主たる商品役務でインテルの商品役務が従たる商品役務」であることを何となく確認。
どちらにおいても、市場閉鎖という他者排除行為(懸念される行動)の「能力」と「意欲」が出てきていることを何となく確認。
潜在的競争消滅懸念
事例集83頁
公取委は「地域拡大」という名称を付けているが、地域拡大が抱き合わせ懸念である場合もあり(中部電力事例)、理論的に切れ味のよい名称ではない。